A3には、多くの人がハッチバックカーというジャンルに対して抱く「お手軽で実用的」という下駄グルマ的精神は微塵も感じられない。
眺め、触れ、乗り込み、走りだす……そういった日常的に繰り返される体験を通し、磨き込まれた逸品だけがもつ硬質感、厚み感、緻密性、骨太感を強烈に訴えかけてくる。
そんなクルマを巷では「プレミアム・ハッチ」と呼ぶが、この言葉ではA3のキャラクターを十分に伝えるのは困難だ。
むしろ「きわめて実用的なスペシャリティカー」と解釈したほうが、このクルマの実像をより正確に掴むことができる、と僕は考えている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワー&フットワーク:★★★☆☆
装備内容:★★★☆☆
オススメ度:★★★★☆
岡崎五朗|モータージャーナリスト
1966年東京生まれの37才。
生活をともにして気持ちがいいかどうかがクルマを評価するうえでの最大の関心事項」という評価姿勢にはファンが多い。自動車専門誌をはじめ一般誌など、幅広いフィールドで活躍中。