日産『ラティオ』がフルモデルチェンジした。そのインテリアは、共用パーツは使っているものの、充実感のあるものとしてデザインされている。
そのインテリアデザインのキーワードは“Worthy”という言葉だと述べるのは同社グローバルデザイン本部プロダクトデザイン部プロダクトチーフデザイナーの前田敦さん。「これは、所有する価値があるとか、ハイクォリティだとか、何かをする価値があるという意味です。つまり、乗った人が所有感を持てるようなイメージでデザインしました」という。そして、「このクラスだとなかなかゴージャスに作れませんが、この価格の中で、ユーザーが十分納得が出来て、持つ価値があると思ってもらえるでしょう」と完成度に自信を見せる。
前田さんは、「良いクルマの定義は時代時代で違っています。バブルの頃は、高いクルマが良いクルマ。エコの時代はエコフレンドリーなクルマ。現代は自分の満足感みたいなものや、買った人たちが、どこか気に入って、自分のクルマとしての所有感が持てるような、買った意味があるようなクルマだと思います」と話す。それには「燃費も必要ですし、室内の広さも必要。フォーマリティも必要でしょう。ちょっと欲張りにはなりますが、こういうバランス感覚が大事だと思うのです」
日本では個人ユーザーと法人ユーザーが半々と見込まれているが、「赤や黒のボディカラーは、普通のユーザーがプライベートとして乗るには、十分パーソナリゼーションを持っていると思います」。そして、「メインは中国などに向けて作ったクルマではありますが、今の日本を見ると、こういう上質なものというのが意外と少なくなっていると思うのです。いろいろロボット的なクルマは出ていて、それはそれでひとつある。しかし、その陰に隠れて、真剣にバランスを突き詰めて作ったクルマがあっても良いなと思っています」と語った。