11月13日、東京国際交流館にて第5回ユニバーサルデザイン会議2014が開催された。
トヨタブースには『ウィングレット』『アイロード』『ノア&ヴォクシー ウェルキャブ』が登場。これら三つの乗り物が、ユニバーサルデザインを通じて生活の中で繋がるイメージを持ってもらうことを目指しているという。イメージコンセプトとなっている「豊かな生活」はトヨタにとって初めての提案だ。
◆福祉車両への取り組み50周年を記念 「いつまでも長く親しんで」
今回の展示にはトヨタにとって特別な意義があるという。デザイン本部デザイン開発部コンポーネントデザイン室主幹の稲垣典世氏は「1964年の東京オリンピック、続くパラリンピックの際に、身障者用にクルマを改造したことがトヨタ福祉車両の出発地点。今回、原点からの50周年を記念し“健康な人だけでなく、身障者の方やご高齢の方にも、いつまでも長く寄り添い親しんでいただける商品を”という想いをもってトヨタが取り組みを続けてきたことをアピールする目的をもつ」と語る。会場にはこの50年の開発の軌跡をたどる年表が掲げられた。
◆ゲーム感覚でリハビリ 「ウィングレット」のバランス機能を活用
展示ブースには『ウィングレット』『アイロード』『ノア&ヴォクシー ウェルキャブ』が登場。「ウィングレット」「アイロード」はこれまで個別に発表されてきたものの、「高齢社会において、日常的に近距離を移動するときに“ちょいのり”用の乗り物として活用いただき、他の福祉車両での移動と上手く繋げるための乗り物という位置づけ」として再構成される(稲垣氏)という。
また、ウィングレットのバランス機能などはソフトの工夫と合せてゲーム感覚でリハビリできるものとして期待される。これらの乗り物も組み合わせた展示をすることで、いわゆる福祉車両と呼ばれるもの以外の製品も、バランスよく使いながらスムーズな移動ができることを理解してほしいそうだ。
◆ウェルチェアが解決した課題「横の座席と目線を同じに、体勢がずれにくい前支点構造」
最後に、トヨタが初めて開発した車いすについて伺った。「今までの車いすだと、目線のたかさが(健常者が座るシートよりも)高いので外の景色が見えにくかった。また横に座る人よりも目線が違うため、コミュニケーションが取り辛い、などの問題を抱えていたが、ウェルチェアーではそれらの不満が解消されている。さらに、前側を支点にしているため、ブレーキを踏んだりしても身体が前にずれにくい構造になっている。」という。
先のオリンピックから50年、来る2020年の東京オリンピックまでにトヨタの福祉車両開発はどこまで進化するのか。トヨタの提唱する「豊かな生活」(クルマから創出する新しい分野での進化により、生活の質を向上させることで、「多くの人々の生活をより豊かにする」ことを目指す考え方のこと)に向けての模索が、今後も続くようだ。