ドゥカティ『パニガーレV4』、サーキット性能が向上…2023年型を欧州発表

後輪の負荷に応じてエンジンブレーキの強度を最適化することが可能に

「ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)」も改良

新しい「ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)」

ドゥカティ・パニガーレ V4 S の2023年モデル
  • ドゥカティ・パニガーレ V4 S の2023年モデル
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ドゥカティは7月11日、『パニガーレV4』(Ducati Panigale V4)シリーズの2023年モデルを欧州で発表した。2023年モデルでは、あらゆるレベルのライダーがモーターサイクルをさらに容易かつ直感的に操ることができるように、電子制御システムが改良されている。

パニガーレV4、『パニガーレV4 S』、『パニガーレV4 SP2』の2023年モデルでは、エレクトロニクス面にアップデートが施された。サーキットにおけるライディングフィールとパフォーマンスがさらに引き上げるのが狙いだ。

◆後輪の負荷に応じてエンジンブレーキの強度を最適化することが可能に

パニガーレV4の2023年モデルでは、ブレーキングやコーナリング中の安定性、精度、旋回性を改善し、ライダーがさまざまなサーキットに対応して、電子制御システムのセットアップをより正確に定義できるようにするため、新しい「エンジン・ブレーキ・コントロール(EBC) 」の「EVO 2」が導入された。このソフトウェアは、選択可能な3つのレベルのそれぞれにおいて、ギアごとに異なるキャリブレーションを採用している。

新たに、リアホイールの負荷に応じて、エンジンブレーキの強度を最適化できるようになった。ブレーキの初期段階で、リアホイールにほとんど負荷がかかっていない場合、「EBC EVO 2」は、エンジンブレーキの効きを少なくすることで、コーナー頂点へのアプローチを高める。

その一方で、コーナー頂点に達してからは、エンジンブレーキの効きを最大にしてモーターサイクルを減速し、狙ったラインをトレースできるようにする。このシステムは、あらゆるライディングフェーズで、よりバランスの取れたエンジンブレーキ制御を行うことで、ハードブレーキング時におけるリアホイールのロックを抑制し、コーナリング時の安定性と精度を向上させるという。

ドゥカティ・パニガーレ V4 S の2023年モデルドゥカティ・パニガーレ V4 S の2023年モデル

◆「ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)」も改良

「ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)」にも改良が施された。全開および半開を含むあらゆるスロットル開度において、ギアシフトがよりスムーズになった、と自負する。

スロットル半開の状況でシフトチェンジを行う場合、従来は燃料噴射をカットしていたが、2023年モデルでは、点火時期を遅らせることで、よりスムーズなシフトを可能にしている。サーキット走行でのスロットル全開時のシフトでは、引き続き燃料噴射をカット。2023年モデルでは、トルク回復時のフェーズがより洗練されたものとなり、モーターサイクルの安定性が向上すると同時に、より均一で一貫した推進力が得られるため、ラップタイムの向上に貢献するという。

これらの変更に加えて、新しい冷却ファンが採用され、作動温度をより精密に管理し、公道走行時におけるライダーの熱的快適性を向上させている。この最新のアップデートは、サーキット走行終了時に頻繁に発生する温度上昇も抑制する。

ドゥカティ・パニガーレ V4 S の2023年モデルドゥカティ・パニガーレ V4 S の2023年モデル

◆新しい「ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)」

さらに、「ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)」とライド・バイ・ワイヤーの設定も見直された。DTCは、コーナリング時における作動がさらに正確になる一方で、ライド・バイ・ワイヤは、ライダーが要求するトルクと実際に供給されるトルクとの関係を、より理想的なものに改善しているという。

今回のアップデートは、すべてのパニガーレV4、パニガーレV4 S、パニガーレV4 SP2の2023年モデルに採用される。さらに、2022年モデルのオーナーには、2022年7月末から、ドゥカティ正規ディーラーネットワークでソフトウェアの更新作業を実施することによって、これらのアップデートを適用することが可能、としている。


《森脇稔》

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