人口減少の中で必要とされる交通改革…京丹後市の先進的な事例【MaaSがもたらす都市変革】

利用者減少の公共交通を残す取り組み

DX化で発展する地域交通

若者世代に選ばれるまちづくり

京都丹後鉄道の特急列車
  • 京都丹後鉄道の特急列車
  • 峰山駅に停車中の丹海バス
  • 移動中のささえ合い交通車内
  • mobi車両
  • 京都丹後鉄道Visaタッチ決済

日本各地を見て回っていると、地域交通の整備に積極的なところと、そうではないところがあることに気づく。京都府の最北端に位置する京丹後市は、間違いなく前者に数えられるだろう。しかも先進的な事例を次々に実行に移しており、国内全体の中でも特筆すべき自治体と言える。

◆利用者減少の公共交通を残す取り組み

京丹後市は2004年、峰山町、大宮町、網野町、丹後町、弥栄町、久美浜町が合併して生まれた。面積は501.43km2で、府内では4番目の広さを持つ。一方で人口は、合併直前の6万5822人から、今年2月末には5万1841人まで減少している。交通も影響を受けており、JR西日本宮津線の運営を引き継いだ第3セクター北近畿タンゴ鉄道は、1990年には年間累計で約300万人だった利用者数が2010年には200万人を割り込み、経常損失と沿線自治体の補助金額は増加を続けていた。

そこで同鉄道では経営改善のために上下分離方式を導入。高速バス運行などで知られるWILLER(ウィラー)グループが担当することになり、2015年に新会社WILLER TRAINSによる京都丹後鉄道の運行が始まった。

路線バスは、兵庫県北部を営業地域とする全担バスの乗り入れが2009年に終了し、京丹後市および隣接する宮津市、伊根町、与謝野町の丹後地域でバス、ケーブルカー、観光船などを運行・運航している丹後海陸交通の丹海バスと、旧弥栄町および久美浜町を走っていた町営バスを引き継いだ市営バスに限られている。

このままでは残る公共交通も減便や廃止に追い込まれることを危惧した京丹後市では、乗ってもらうための仕組みを検討した。その結果としてまず導入されたのが「上限200円バス」だった。

丹海バスは距離制運賃を採用しており、最高では1150円にも達していた。利用者に聞いたところ、200円が理想という意見が多かった。さらに平均運賃を出したところ、380円という結果が出た。利用者が2倍になれば収支は改善されると考え、実施に至った。


《森口将之》

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