第30回の記念すべき日本カー・オブ・ザ・イヤーは、事前に流れた噂通り、2台のハイブリッドカーの争いとなって、終盤まで希に見る接戦となった。61名の選考委員すべての票が開かれるまで予断を許さぬ緊張感が開票会場に満ちた。
ハイブリッドカーの価格破壊ともいえる低価格化が起こった今年、その火付け役はホンダ『インサイト』だったが、それを見たトヨタ『プリウス』は、その性能と商品性からは破格値といえる低価格設定をしてきた。そればかりでなく、商品性に抜かりの無い仕上がりに、僅差の勝利の要因があったのではないか。
今回の東京モーターショーは、そうした日本カー・オブ・ザ・イヤーでのハイブリッドカー競演を象徴するように、ハイブリッドカーオンパレードとなった。そうした中、より原点に立ち返り、エンジン車のアイドリングストップを量産市販車に標準装備したマツダ『アクセラ』に私の10点を投票した。
ハイブリッドカーや電気自動車の普及は少しでも早く望まれるところだが、現実問題として、エンジン車のアイドリングストップの標準化こそ、大多数のクルマの燃費を改善する大切な手段であり、ハイブリッドカーも、その基本はアイドリングストップにあるからだ。
御堀直嗣|フリーランスライター
玉川大学工学部卒業。1988 - 89年FL500参戦、90 - 91年FJ1600参戦。94年からフリーランスライターに。主な著書は「燃料電池のすべてが面白いほどわかる本」「ホンダトップワークス」「図解エコフレンド リーカー」「快走・電気自動車レーシング」「ホンダF-1エンジン」「ポルシェへの頂上作戦」「自動車ニュー テクノロジー集成」「クルマの基礎知識」など。