『eQ』(米国名は『iQ EV』)。何ともハマりきった感のある車名である。
ベース車のiQ自体、姿カタチからしてコミューター的EVの適任車に思えたが、今年12月から360万円での限定導入を前に試乗する機会を得た。限られたコース内での短時間の味見ながら、第一印象は「完成されている」。
1充電で100km走れ、最高速度は125km/h。AC200Vなら約3時間で満充電できるというこのeQ、窓を閉め走らせてみると、EVのプロトタイプ車などにありがちなモーターの唸り音や不要なメカ音、ノイズがほとんどといっていいくらい気にならない。アクセル操作に対し発揮される動力性能も期待値以上で、極太なトルクに安心感すら覚える。
コンパクトなのにもともとピッチングが抑えられ乗り味がいいのはベース車譲りだが、「ベースに対し車重は130kg増しだが、前後重量配分はむしろよくなった」(トヨタ担当者)ためか、よりフラットな乗り味を実感した。
EV化に際しボルトオンとはいかず、床下の2段重ねのバッテリーの搭載等でフロア形状などは変えているのだそう。「EVはやはり近距離の使用に馴染む」(内山田竹志・取締役副会長)がトヨタの目下の判断のようだが、バッテリーのコストの問題等がクリアされ、ユーザーの生活のなかでの普及を望みたい期待の1台だ。