フェラーリ、イタリアと日本の文化を融合した1台…『ローマ』をカスタマイズ

シートなどの素材に75年前の藍染の着物を使用

V8ツインターボは最大出力620ps

最新の電子制御デバイスとアクティブエアロ

日本の伝統文化に着想を得た1台限りのフェラーリ・ローマ
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フェラーリは5月17日、日本の伝統文化にインスピレーションを得て、「テーラーメイド」プログラムによってカスタマイズを行った1台限りの『ローマ』(Ferrari Roma)を発表した。

◆シートなどの素材に75年前の藍染の着物を使用

日本の藍にインスパイアされ、特別に開発された鮮やかなブルーのボディカラーは、「インディゴ・メタル」と命名された。内装は、シートトリムやカーペットに、藍色の「裂き織り」(着古した着物をほどき、布を裂いて糸にし、新しい繊維で織り直す)を使う。

この裂き織りを実現可能な素材にするにあたって、日本の奄美大島で作られたヴィンテージ着物2着が選ばれた。1着は約75年前の藍染の着物で、もう1着は約45年前の着物。ただし、車内で使用するのに必要な耐久性を確保するために、従来のように綿や絹を用いるのではなく、伸張性に優れたナイロンを用いて着物の糸を織ったという。

シフトゲートに施された銅メッキや、デュアルコックピットの輪郭、ホイールに施された銅色は、京都で銅製茶筒を手がける開化堂がモチーフだ。センターアームレストとドアシルのプレートにあしらわれた紋章は、日本での家柄や身分を示すのに使われる「家紋」を特注したもの。狂言師がデザインし、平安時代に貴族の間で流行した乗り物の牛車の車輪と、ローマのV8エンジンの8つのピストンを組み合わせたスポークを表現している。

今回のローマは、イタリアと日本のデザイン文化を融合した1台という。フェラーリのテーラーメイドプログラムによって得られる限りなく豊かな組み合わせと可能性を示すひとつの例、としている。

日本の伝統文化に着想を得た1台限りのフェラーリ・ローマ日本の伝統文化に着想を得た1台限りのフェラーリ・ローマ

◆V8ツインターボは最大出力620ps

ローマのフロントミッドシップに搭載されるのは、『ポルトフィーノM』と同じく、排気量3855ccのV型8気筒ガソリンツインターボエンジンだ。新しいカムプロフィールや、タービンの回転を測定する速度センサーを採用した。これにより、タービンの最大回転数が、毎分5000rpm高められた。「バリアブル・ブースト・マネジメント」を採用する。これは選択したギアに合わせて、トルクの伝達量を調整する制御ソフトウェアだ。回転数の上昇に合わせて、いっそうパワフルな加速を実現すると同時に、燃費も最適化するという。

さらに、フラットプレーン式クランクシャフトを搭載する。サイズの縮小によって、回転質量を減少した。タービンは小型化によって慣性モーメントを低減させ、ツインスクロール技術で排気脈動の圧力を高めてパワーを最大限に追求している。ローマは、最大出力620ps/5750~7500rpm 、最大トルク77.5kgm/3000~5750rpmを引き出す。このスペックは、ポルトフィーノMと同じとなる。

トランスミッションは、フェラーリ初のプラグインハイブリッド車(PHV)、『SF90 ストラダーレ』にも採用された新しい 8 速デュアルクラッチを組み合わせた。従来の7速よりもコンパクトで、6kg軽量化された。燃料消費量と排出ガスが低減されるだけでなく、低粘度オイルとドライサンプ式構造によって流体力学的ロスを最小限に抑え、より素早くスムーズにシフトチェンジをすることが可能に。そのため、一般道を走行する際の車両レスポンスが高まり、市街地やストップ&ゴーを繰り返す状況下ではとくに快適になったという。ローマの乾燥重量は1472kg。動力性能は、0~100km/h加速が3.4秒、0~200km/h加速が9.3秒、最高速が320km/h以上だ。

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◆最新の電子制御デバイスとアクティブエアロ

ローマには、「サイドスリップ・コントロール(「SSC」)6.0」のコンセプトを活用する。SSCには、サイドスリップを正確に予測して、コントロールシステムに伝達するアルゴリズムが組み込まれている。SSC 6.0が統合するシステムには、「E-Diff」、「F1-Trac」、「フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)」などがある。FDEには、「Race」モードに導入された。Raceなど5種類のモードを切り替える「マネッティーノ」によって、ハンドリング性能とグリップを引き出しやすくしている。

リアスクリーンと一体化した電動可動式のリアスポイラーを採用した。リアでダウンフォースを発生し、最適な車両バランスを実現する。フロントにはアンダーボディのボルテックスジェネレーター、リアにはアクティブエアロダイナミクスも装備した。これにより、250km/hで発生するダウンフォースは、ポルトフィーノよりも95kg増加している。

リアスポイラーは特殊なメカニズムによって、速度と前後と左右の加速度に応じて、3種類のポジションに展開する。最大の高さの「HD」に展開すると、可動エレメントはリアスクリーンに対して135度の角度となり、ダウンフォースを増加させる、としている。


《森脇稔》

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