【スズキ GSX-S1000GT タンデム試乗】パートナーと一緒にバイクを楽しみたいという夢を叶えてくれる…佐川健太郎

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スズキ GSX-S1000GT
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楽しみにしていたGSX-S1000GTの試乗。評判の良さは聞いていたが、実際に乗るのは初めてだ。しかも今回は美女とのタンデムツーリング。都内をまだ薄暗いうちに出て第三京浜を経由して湘南へ。待ち合わせ場所の平塚駅のロータリーをぐるりと一周すると、いたいた。すらりとした長身に白いジャケットとブルーのGパン姿が良く似合う、自らも大型バイクに乗る人気YouTuberのまーろんさんだ。

「素敵な色ですね、スマートでかっこいい」とGTを見るなりひと言。お目が高い。さっそくタンデムステップに片足をかけてリアシートに跨ってもらうが、車体が軽いうえに足着きがいいので踏ん張りが効いて安定している。純正オプションのパニアケースもコンパクトなので、あまり気にならないようだ。バイクで“二人旅”をするライダーにとって、乗り降りしやすさ大事なポイントである。ヘルメットのバイザーをパチンとロックしていざ出発。目指すは西伊豆方面だ。

スズキ GSX-S1000GTスズキ GSX-S1000GT

タンデムで真価を発揮するグランドツアラー

GSX-S1000GTはその名のとおり、スーパースポーツGSX-R1000のDNA直系のグランドツアラーである。レースでも輝かしい実績を残してきた伝統の水冷直4エンジンは剛健なツインスパーフレームとともにストリート用に最適化され、パワーはマイルドに車体やサスペンションの乗り味もしなやかに調教されている。先代のGSX-Sシリーズがかなりやんちゃなマシンだったので身構えていたのだが、良い意味で肩透かしを食らった感じ。ずいぶんと大人になったなぁ、と思わずタンクを撫でてあげたくなった。

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タンデムで試してみたかったのがスズキドライブモードセレクター(SDMS)。いわゆるライディングモードだが、過激なほうからA(アクティブ)、B(ベーシック)、C(コンフォート)と3段階あってエンジン制御マップが切り替わる。最高出力値は変わらないが、スロットルに対するパワーの出方が大違いで、AがまさにロケットだとするとCは高級サルーンのよう。アクセルの開け方がやや粗くてもじわじわーっと加速してくれるので、ウェット路面だけでなくタンデムにもおすすめ。二人の時間が平和に流れていく。

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加えてシフトアップとダウンの双方向に対してクラッチレスで瞬間的にギヤチェンジしてくれるクイックシフトシステム。途切れることなく加速・減速できるため、半クラでごまかす必要もなくパッセンジャーにも気を遣わずに済む。つまり、自分も相方も疲れず快適に旅を続けられるのだ。ツアラーにしてはリアシートがコンパクトに思えたので乗り心地を尋ねてみると、「座り心地もいいしグラブバーも握りやすいので快適ですよ!」とまーろんさん。電子制御のサポートもあり、評価は上々だ。

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GSXの血統書付きのエンジンは伊達じゃない

湘南の海沿いを走るハイウェイ。リアシート下に標準装備されたETC2.0車載器のおかげでスマートに料金所を抜けると、150馬力のエンジンが呻りをあげて加速していく。パニアに荷物を積み込んだタンデムでもスロットルひと捻りで制限速度まで一瞬にして達してしまう力量感。やはりGSXの血統書付きは伊達じゃない。図太い直4サウンドとともにキーンと突き抜ける甲高いノイズに魂が震える。空気を切り裂くクサビ型のフロントノーズと一体化したラインを描く大型スクリーンによって、分厚い空気の層はライダーの頭上に持ち上げられて流れていく。上体を伏せなくても風当たりは心地よいレベルだ。

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夏の日差しに輝く水面を眺めながら、ひと言ふた言交わしたいときに便利なのがクルーズコントロールシステムだ。右手にオン・オフスイッチ、左手に速度調整スイッチが別個にあるのがポイントで、道が空いてクルコンを入れたいときに即オンにできるなど使い勝手が抜群にいい。前の設定速度に戻すレジューム機能も含め、ライダーが操作しやすいよう考えられた配置になっていて、なんだかスズキの良心が伝わってきて嬉しい。

タンデムでも安定したワインディングを楽しめる

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箱根ターンパイクから伊豆スカイラインを抜けて西伊豆スカイラインへ。ライダーなら誰もが憧れる黄金のルートをひた走る。ワインディングはGSX-S1000GTが本領発揮する場所だ。大排気量ツアラーとして格段に軽い226kgの車体とライダーが意図したとおりに反応する優れたハンドリングによって、刻々と曲率が変化する難しい峠道をスロットルのオン・オフだけで右へ左へとリズミカルに切り返していく。まるでソロツーリングしているかのような自在感である。

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ひとつ気付いたのがライポジだ。ストリートファイターのような幅広なアップハンドルのおかげで、倒し込みのきっかけ作りやコーナリング中のライン修正がしやすいのだ。つまりテコの応用。また、公道では補修パッチだらけの荒れた路面に出くわすことも珍しくはないが、KYB製のフルアジャスタブル式倒立フォークとリンク式リアショックがしっかりと路面を捉えてくれた。稜線の間から絶景が見えるたびに後ろで歓声を上げていたまーろんさんからも「コーナーでもとても安定していて、安心感しかないです!」と誉め言葉。半分お世辞にしても運転手としては嬉しい限りだ。また、低中速域でも扱いやすく、十分なハンドル切れ角とローRPMアシストのおかげで市街地でのUターンも不安なくこなせたことを付け加えておく。

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最後にソロで最強のAモード設定でも走ってみたが、パワフルなのはもちろんのことサスペンションも適度にダンパーが効いていてスポーティな乗り味は変わらなかった。たとえば、もっとディープに走りを追求してみたければ、パートナーには温泉でのんびりしてもらっている間に自分はパニアを取り外してソロライドを楽しむのもいいだろう。

距離を気にすることなくスポーティで快適な走りを楽しみ、気の合うパートナーとともに心豊かなバイク旅を愉しみたい。GTはそんな欲張りな大人のライダーの要求にもきっちりと応えてくれるはずだ。

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佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

撮影協力:新井旅館(伊豆修善寺温泉)

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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