日産株主総会、内田社長「ルノーとの資本見直し、早い段階で公表したい」[新聞ウォッチ]

日産自動車の第124回定時株主総会
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  • 日産自動車の第124回定時株主総会での内田社長

「内田社長、評判悪いよ」……。株価の低迷などで苛立つ株主からは、こんな罵声も飛び交った日産自動車の定時株主総会だったが、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)らの取締役選任案など会社側が提案した2つの議案が承認された。

◆ルノーとの資本提携の見直し、決着を急ぐ

総会後の取締役会では意思決定を速くするために、退任したアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)の後任を置かないことを決定するなど、内田社長を唯一の代表執行役とする新しい経営体制では、調整が長引く仏自動車大手ルノーとの資本提携の見直し交渉の決着を急ぐという。

きょうの各紙にも「日産、内田新体制が始動、ルノーとの交渉急ぐ」(読売)や「日産、内田社長主導に、クプタ氏降任選ばず」(産経)、「日産、内田社長に権限集中、新体制、意思決定迅速に」(日経)などのタイトルで報じているほか、朝日は「日産・ルノー契約停滞、時期示さず 人事混乱影響か」、毎日も「日産COO退任経営対立背景か、ルノー色薄まる」としている。

総会で内田社長は懸案のルノーとの資本関係見直しについては「個社の利益、成長を最優先にルノーと最終的な詰めの交渉をしており、時間がかかっている。早い段階で形にして公表したい」と述べた。

◆交渉は停滞か

今回、内田氏に権限を集約する新体制に改めたのは、日産の最優先課題となっているルノーとの資本関係の見直し交渉が停滞しているためともみられる。このため、記事では「内田氏には、ガバナンスを確立し、世界的な競争に勝ち残れる体制を築けるかどうかが問われている」(読売)。「内田氏を軸に一枚岩の執行体制を築けるか。経営のもたつきが許される競争環境ではない」(日経)などとも指摘している。

日産の個人株主の中には、ゴーン政権時代の「高配当」を狙って購入した投資家も少なくない。その株価も当時の1000円台から比べると半値以下の500円前後で低迷しており、株主の大半は“塩漬け”状態。総会で株主からは低迷する株価に苛立つ質問や株主還元の強化を求める話題も多くみられただけに、ルノーとの交渉の早期決着が株価にも好材料となるのかどうか……。

2023年6月28日付

●日産、内田新体制が始動、ルノーとの交渉急ぐ、株主総会選任案決議(読売・9面)

●経営統合の方針、日野社長が説明(読売・9面)

●園バスに安全装置55%、義務化初の調査、自治体間で差(朝日・1面)

●八街児童5人死傷事故2年、飲酒運転抑止へ道、白ナンバーの検査義務化、エンジンロックなど提唱(産経・24面)

●ダイハツ、工場停止を2日延長(日経・15面)

●米EV新興が経営破綻、ローズタウン「鴻海が契約不履行」(日経・15面)

●曲がる太陽電池、京大発新興・トヨタ開発、EV屋根に搭載目指す(日経・15面)

《福田俊之》

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