補助金で普及が弾む充電インフラの最新トレンド…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]

補助金で普及が弾む充電インフラの最新トレンド…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  • 補助金で普及が弾む充電インフラの最新トレンド…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]

来たる8月24日、オンラインセミナー「拡大する充電市場~インフラ整備やマネタイズの最新動向と将来展望~」が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社富士経済 インダストリアルソリューション事業部 エキスパートの山田賢司氏。

今回のセミナーのテーマは以下のとおり。

1.基礎充電領域の充電インフラ整備最新トレンド
2.公共用充電領域の充電インフラ整備最新トレンド
3.充電関連サービスプロバイダの最新動向とマネタイズに向けた取組み方向性
4.EV/PHEV車両新車販売およびストック(保有)の最新トレンドと将来展望
5.質疑応答

講演の後には、参加者からの質疑応答の時間が用意されている。

セミナーの詳細はこちらから。

山田氏にセミナーの見どころを聞いた。

■現在の充電インフラの状況と課題

日本におけるEVの普及はまだこれから、という段階だが、充電インフラが整備されないことにはEVの普及も進まない。直近の充電インフラ整備状況はどうなっているのか。山田氏は、補助金によって普及に弾みがついている状況だと示唆する。

「国として大きな充電インフラ整備予算が投入され、その結果、2021年度から2022年度にかけて充電インフラ整備補助金は前年度比3倍のペースで拡充され、2022年度は総額175億円が充電・充放電領域に振り分けられました。これにより市場は大いに活況を呈していましたが、2022年度は、充電器でも半導体の供給不足による部品調達とデリバリーの遅延が問題となり、需要が急増したにも関わらず、それに間に合わない事例が散見されました。それでも2022年度下期には充電器の供給体制が一定の回復を見せ、全体的には供給体制が整ってきました。」

「公共用充電(経路充電)インフラの整備については、地図上にプロットして見る限りでは一応エリアはカバーされていると言えます。しかし、ユーザーの体感レベルという観点からは、航続距離の延伸と充電時間の短縮というトレードオフの関係性改善に向けた大出力急速充電器の普及拡大など、まだ改善すべき問題が多々あります。」

「基礎充電環境(普通充電)について話しますと、日本特有の「充電コンセント」が存在します。これで3kW前後の出力が得られますので、自宅での夜間充電では、8時間で最大24kWhまで充電可能です。現在国内で一定の人気を誇る軽EVや、プラグインハイブリッドの搭載バッテリー(10-20kWh)であれば一晩でほぼ満充電可能です。」

「2022年に入ると、エネチェンジやテラモーターズといった会社が集合住宅向けの基礎充電環境の整備に注力し始めました。これらのサービスプロバイダが年間2000台近くの充電設備を設置し、その結果、集合住宅における基礎充電環境の整備が今後さらに進展する可能性が見えてきました。」

「集合住宅向けの充電環境が整備されることで、EVやプラグインハイブリッドを新車購入時の選択肢に加える消費者が増え、車両の普及が進む可能性があります。」

「まとめると、公共の急速充電については、地域的には大部分がカバーできているものの、数量的および出力面の問題がある状態。基礎充電はまだまだ不足していますが、一部のサービスプロバイダの出現により普及が進んでいるという状況です。」

■集合住宅向け充電オペレーターのビジネスモデルとは

エネチェンジやテラモーターズなどのサービスプロバイダは、この1-2年で名前をよく聞くようになった。積極的な宣伝広告を展開し、初期費用ゼロ、運用費用ゼロという謳い文句で事業を拡大している。これらの企業はどのようにして充電ビジネスを展開しているのだろうか。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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