OEMの収益に貢献しないBEVと現実的な脱炭素の道…SOKEN 古野志健男氏[インタビュー]

OEMの収益に貢献しないBEVと現実的な脱炭素の道…SOKEN 古野志健男氏[インタビュー]
  • OEMの収益に貢献しないBEVと現実的な脱炭素の道…SOKEN 古野志健男氏[インタビュー]

来たる10月24日、「BEV一辺倒からの変貌、今後とるべき脱炭素戦略」が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社SOKEN エグゼクティブフェロー 兼 日本自動車部品工業会 技術顧問の古野志健男氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.世界の自動車産業を取り巻く環境変化
2.世界の自動車業界の最新動向
3.電動車普及への課題
4.持続可能なモビリティ社会の姿
5.日本の自動車産業がとるべき脱炭素戦略
6.質疑応答

そして講演の後には、本セミナーのモデレーターであるスズキマンジ事務所 代表の鈴木万治氏を交えて、視聴者からの質疑応答の時間が用意されている。

セミナーの詳細はこちらから。

セミナーに先立ち、見どころを古野氏に聞いた。

■BEVの収益性の低さが明らかに

カーボンニュートラルの旗印のもと、世界中の自動車メーカーが電動化を推し進めてきたが、BEVの収益性の低さが自動車メーカーを苦しめており、このような状況は持続可能ではないことが徐々に露見していることを古野氏は指摘する。

「電動化の進展において、BEVの導入は自動車業界全体のカーボンニュートラルに向けた重要な戦略であるとされています。しかし、現場の状況は少し異なると私は考えています。

欧州や中国も一見するとBEVの導入が進んでいるように見えますが、OEMの利益にはほとんど貢献しておらず、テスラを除いて多くの企業は利益を上げていません。このため、経営が持続不可能な状況が続いています。

建前と本音のギャップというものは存在するものですが、最近ではこの本音が徐々に露わになってきていると感じられます。」

そのような状況もあり、中国の自動車メーカーのなかにはPHEVに注力するところも出てきているという。

「特に中国の市場では、BEVは売れているものの、利益は出ていない状況が見られます。このため、多くの企業はPHEVの開発に力を入れています。例えば、BYDは昨年、新エネルギー車(NEV)の販売台数で世界一になりましたが、合計186万台のNEVを売ったうち、BEVは91万台、残る94万台はPHEVでした。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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