新型アウディ『A4』は一言で言うと傑作だ。細かく見ると気になるところもあるけど、総体的に非常によく出来ている、魅力的なクルマである。最近のアウディはドイツ車の中で一番ドイツらしいブランドである。
どの角度から見ても、新『A4』はとにかくハンサムで頭良さそうに見える。美しくまとまったスタリングを採用しながら、今回のモデルはシャシー剛性の向上とサスのチューニングのおかげで、ハンドリングや乗り心地がだいぶ進化した。
今年の輸入車の中でもっとも注目したいのはアウディ『A4』とシトロエン『C5』。お互いによきライバルとして日本に上陸したが、ここではアウディA4の非凡さについて述べてみよう。
前車軸の位置を従来より前に出した新しい車体の採用で、新型『A4』が得たのは伸びやかなプロポーションだけではない。その走りは格段に進化。前後重量配分の改善などにより、走りの正確性が高まり、乗り心地も俄然しなやかになったのだ。
外から眺めても、中に座っても、『A4』という気がしないほどの大きさと広さ。ほとんど『A6』と大差ないサイズ感で、とくに横方向の余裕が大きい。質感も十分。その点で、まず『3シリーズ』や『Cクラス』をリード。
保守でいくか革新をとるか、主力車種のモデルチェンジには難しいテーマがつきものだ。アウディ『A4』の場合は、歴代モデルの進化過程を見る限り堅実にレベルアップしてきた。
新型『A4』の特徴のひとつは、ボディサイズの拡大にある。前後左右ともサイズアップ。
エクステリアは、力強さと繊細なラインが組み合わされていて、この全体の雰囲気が、日本車にとって真似のできないところの一つです。
新型『A4』は、シャシー、エンジン、サスペンションのすべてが改められた。それによって大きく改善されたのが走りっぷり。ドライバーの操作にダイレクトに反応し、キビキビと走る。乗り心地も当たりが柔らかく、上質になった。
新しい『A4』の魅力は前後の重量バランスを大幅に改善させたことだろう。もちろん従来のA4でも普通の道路を走っている限り何ら問題ない。
アウディ『80』から数えて8代目になる『A4』は、モデルチェンジを機にボディサイズを兄貴分の『A6』並みに拡大した。押し出しが強くなり、風格も増したが、日常の取り回し性は今一歩だ。
新型アウディ『A4』最大の変更ポイントはパッケージングの見し。フロントサスペンションとエンジン搭載位置の関係を改め、ロングホイールベース化している。フロントミッドにエンジンをマウントすることで、クルマの中心に近いところに重い物を集めるということだ。
従来の『A4』のスタンダードモデルはカチリとしているが中庸な4ドアセダンだったが、新型では一変してスポーティなセダンに変身した。
運転席に乗り込むと、アウディならではのクォリティが表現されたインテリア空間が広がる。インテリアの質感では、最近はほかのメーカーの追い上げも著しいが、アウディは『A4』でまた一歩先に進んだ感じがある。
シングルフレーム・グリルがうまく溶け込んだフロントビューもさることながら、新型『A4』はリアビューがいい。優等生っぽい一方であまり主張のなかった先代と違い、ちょっとワルっぽい横長のテールランプをうまく配置したところに魅力を感じる。