乗り心地や身のこなしの、つまり動的印象に関する洗練度がさらにまた上がった。前回の大規模マイチェンで「あ、これなら」の水準に達したあとも、細かいダメ出しとその修正の作業は地道にシツコく続けているようだ。
今のジャガーに英国伝統の高級上質車を期待してはいけない。フォードのアメリカ人がイギリスに来て、高級車という商品を作っているのだから。
ジャガーのラインナップの中で、もっとも評価が難しいモデル。というのも「ジャガーである」ということ以外、特徴を持たないからだ。
アクセルを全開にした瞬間、スーパーチャージャーが唸る。『R』の加速力はスゴイ! 406psでリヤタイヤが大地を蹴飛ばす。ポルシェのようなダッシュ力だ。
ここが変わったと具体的に指摘されないとわからない。グリル回りと前後バンパーなどがリファインされたのだが、どれも最初からそうだったように見えたりして。
マイナーチェンジが行なわれたが、今回はフェイスリフトが中心。パワートレーンなどは前回チェンジのときに改良が加えられており、大きく変わった部分は少ない。
エクステリアは丸みを帯びた可愛い雰囲気から、幾分大人びたフォーマルなイメージに成長。ただし、インテリアは、ジャガーらしい伝統のクラシカルなムードを踏襲している。
熟成によって、こんなによくなっていく例も珍しい。最初が悪かったとはいわないが、はじめからこのレベルの仕上がりだったら、もっと人気が出たろうに。
顔がちょっと変わったというが、正直、どこがどう変わったのかよくわからなかった。ただひざびさに乗って案外いいなぁ…とは思ったね。
新シリーズ中のオススメは、個人的には断然2.5リッターモデル。加速は強力とはいい難いが、それでも限られたエンジンパワーを効率よく引き出す6速ATの助けもあって、まず不満なく「ジャガーらしい走り」を実感できるだけの動力性能を実現させている。
メルセデスにあてはめれば、『Eクラス』になる。プレミアムクラスのミドルセダンである。英国流の落ち着きと、ジャガー流の躍動感が漂う、じつに品のいいクルマに思う。
マイナーチェンジが行われたジャガー『Sタイプ』。ジャガージャパンの発表によるメインターゲットは世帯年収1200万円以上の医師や弁護士などのプロフェッショナルという。
ジャガーSタイプには4種類ものエンジンがラインナップされている。トップグレードとなる『SタイプR』には4.2リッターV8エンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、406psを発揮する、最強エンジンが搭載されている。
往年の名車、ジャガーMk.IIをモチーフとしたスタイリングが特徴のジャガー『Sタイプ』がマイナーチェンジを実施し、5月15日から発売が開始される。