続いて、シリーズ最廉価版の『S40』“2.4”(346万5千円)のフィーリングを紹介していこう。
まず、『V50』の“2.4i”から乗った実感を報告していこう。じつをいうと順番的に先に乗ったのは『S40』の“2.4”だったんだけど、エンジンフィールがまるで違うのにビックリ。
新しい走り味を持つボルボ。『ゴルフV』も新型でこれまでにないスポーティを手に入れたが、ボルボS40もまた同じようにスポーティな部分を身につけた。
ボルボってさ、私事で恐縮ですが、自分とは一番遠い世界にあるクルマだったんだ。安全で退屈で家庭第一っぽくて、まるで人生守りに入りまくりじゃない! そんなヨーロッパのオッサンクラウン乗ってられっか! って……
ボルボって走りが退屈じゃない、なんせヨーロッパのオッサンクラウンだから。
高速域での直進安定性がよい。スタビリティはこのクラスとしては抜きん出ている。サスペンションは硬めの印象。多少突き上げ感はあるが、すぐに馴れてしまうレベルのものだ。
三菱の骨格から脱し、フォード、マツダとの共同開発。とくに車体設計はボルボがリーダーシップを取ったことで、ようやく「小さめボルボ」と呼べるクルマができた。
マツダの『アクセラ』がヨーロッパCOTYでVW『ゴルフ』と同点の2位だったことからわかる通り、フォードグループで生産されるCセグメント車用として開発されたマツダのシャシーは優れたポテンシャルを持つ。
試乗したのは『T-5』だけだが、パワフルなターボ仕様のエンジンを搭載したモデルだけにじつによく走る。
コンパクトに見えるがヨコ幅はあるので、実際に乗ると意外と広く感じる。つまり、トレッド(左右のタイヤ間の距離)が広いということで、ハンドリング性能も予想以上によい。
とてもいい雰囲気を持っている。プロポーションは、FFの3BOXセダンとしてはアルファ156に並ぶ秀逸な出来ばえだ。
ボルボのデザイン力が今まさに絶頂期に感じられるぐらい、『V50』のエクステリアはお洒落。さらにインテリアもモダンだ。
デザインがいい。ボルボらしい堅牢感を漂わせながら、ショートノーズを上手く使ってコンパクト級の可愛らしさと広い室内を両立させた。
先代はベース車を強引にボルボ風に仕立てた感じがあったけれど、今度の『S40』(『V40』も)はどこから見ても立派なボルボ。凝縮感というか、かたまり感のあるデザインでバランスもいい。
スウェーデンのモダンリビングのようなインテリアデザイン、スポーティなエクステリアなど、切れのよいデザイン力がある。ライバルはBMW、アウディ、メルセデスなど。価格的にはV50がもっとも安い。