スズキ『GSX-8R』が純粋に走りを楽しめる理由は、素晴らしい“素材”とエンジンにある

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スズキ GSX-8R
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スズキにとって、いまや『Vストローム』シリーズはなくてはならない存在。いや、そう思っているのはユーザーのほうかもしれないけれど、それほどメーカーにとってもユーザーにとっても大切なマシンとなっているのは確かなことである。

だからこそ、全くの新規モデル『Vストローム800/DE』開発への意気込みは相当なものであったことは想像に固くない。『GSX-8R/S』はこのプラットフォームを譲り受けたスポーツモデルである。譲り受けたという言い方は正しくないかもしれない。なぜなら、開発当初からこれらのモデルは同時進行で開発されたというのだから、発売された順番で優先順位が決まっていたわけではないだろう。

◆フロントフェアリング装着が生む運転姿勢

スズキ GSX-8Rスズキ GSX-8R

いっぽうで、ベストセラーシリーズのニューマシンを開発する段階での要望は、最大限聞かなければならないという掟は守らなければならなかったであろう。オフロード性能であったり、フロントに21インチホイールを履くという前提は、本来『GSX-8R/S』には不必要なものである。そこが腕の見せどころであり、どのように作り上げてきたかが興味深いところである。

スポーツネイキッドモデルの「8S」に対し、フロントフェアリングを装着した「8R」。 スズキのスポーツバイクの代名詞『GSX-R』のデザインを継承しつつ、跨った際の前傾は緩やかなもので気合をいれなくとも日常的な使用に不具合のないものである。またそのフェアリングも、レーシングフィールド、つまりしっかり上半身を伏せての防風性ではなく、もっとリラックスしたライディングポジションでの機能を高めている。

◆軽快なハンドリングと「分かりやすい」挙動

スズキ GSX-8Rスズキ GSX-8R

テストライダーとして、まずは共通プラットフォームとした車体まわりに注目したのだが、ハンドリングに違和感はないどころか、むしろ、フロント周りの自由度の高さ、軽快さが印象的だ。

例えば『DR-Z400S』というオフロードモデルがスズキには存在した。それをモタード化=前後ホイールを17インチ化した『DR-Z400SM』もヒットモデルとなったが、強引ともいえる17インチ化により大きくハンドリングを崩した車両が少なくなかったなかで、通常のロードモデル以上に一般道や峠道が軽快だったことを思い出した。モデルも手法も「GSX-8シリーズ」と「Vストローム800シリーズ」の関係性とは異なると思うが、先入観を覆す印象は似ているともいえる。

フェアリングの有無とポジションの違いくらいかと思われているRとSモデルであるが、じつは前後のサスペンションがブランドも含めて変更されている。 KYB製を装備する8Sはもう少しバネ感が強かった印象。ライディングポジションの影響もあると思われるが、それがヒラヒラと軽快なハンドリングに結びついていたのである。SHOWAを装備する8Rは、より減衰力が効いていて接地感や手応えを増している。

スズキ GSX-8Rスズキ GSX-8R

フェアリングによってフロント周りが重くなっていることもあってのサスペンション変更だというが、それを上手くメリットに結びつけている印象だ。旋回力という意味では、グイグイとフロントからよく曲がるといったタイプではないものの、これもわかりやすさが非常に高く、自信を持ってライディング出来る。

ワインディングをハードに走らせてもその具合の良さに変化はない。もしかするとサーキットにおいて限界域で走らせた際には気になる面もあるのか?とも想像するが、今年から参戦開始した全米選手権のツインズカップでいきなり好成績を収めているくらいだから、それも杞憂かもしれない。

◆楽しさと安心感を備えた懐の深いマシン特性

スズキ GSX-8Rスズキ GSX-8R

なにを追求するか? 例えばスーパーバイクのような、市販車で最速を狙うような設計と比較すれば攻めどころはあるのかもしれない。しかしである。過去を遡れば、それこそこれまで名車と言われてきたマシンの中身を見てみても、現代の理想とされる設計とは異なったりしている一方、カリカリのレースモデルよりも遥かにワインディングを楽しめるということも少なくなかったりするのである。

8Rのフィーリングはまさにそれで、より間口が広く、自由自在にマシンの行き先にフロントを向けていくことが出来る。鋭すぎないハンドリングや適度な前傾によるフロント周りのフィードバックの大きさ等、ビギナーからエキスパートまで納得のうえ楽しめるハンドリングを有している。

この安心感を後押しするのはエンジンの功績も大きいだろう。「SV650」や「Vストローム650」に搭載されていた90度Vツインエンジンをリスペクトしつつ設計された並列ツインエンジンは、すでにVストローム800DEにはじまり、筆者は4モデルすべてをテストしてきている。

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800DEで初めて触れたときから、そのフィーリングの良さを実感し、その後、次々と兄弟モデルに乗る機会に恵まれたがその良さに慣れがない、飽きのこないフィーリングであるとあらためて実感している。

湧き上がるトルクフルさは数値だけでなく使いやすさが溢れていて、しっかりと速い。付き合えば付き合うほどその良さを感じるのである。テストライドモードではクセ強のスパルタンなマシンに面白みを感じたりする。しかし長時間でのそれは苦痛を伴うこともある。いっぽうで、ただ快適なだけでは面白みがないという評価につながることもある。

このエンジンは、そのさじ加減が絶妙である。たとえばこのマシンを通勤用に使用したとすれば、実用面で非常に優れていると実感するはずだ。毎朝、そして就労後のご褒美として、純粋に走ることを楽しめるのではないかとさえ想像出来るのである。

スズキ GSX-8Rスズキ GSX-8R

フリクションなく気持ち良く吹け上がるエンジンのパワーモードは3種類。 個人的にはもっともパワフルなAが純粋に楽しいと感じるが、通勤時であればきっとBを多用するであろう。ウェット路面に限らず、まったり走りたいときにはCを選択するなど、イージーにキャラクターが変更出来るのも嬉しいところだ。

料理の鉄人がいくら頑張ったところで、不味い素材を美味しくすることは出来ない。素晴らしいベースがあったうえで、個々のキャラクターにあったマシンを作り上げることに成功している。GSX-8Rも自信を持ってオススメ出来るマシンとなっている。

スズキ「GSX-8R」と鈴木大五郎スズキ「GSX-8R」と鈴木大五郎スズキ GSX-8R公式ページはこちら
《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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