異業種ルーツの自動車参入、個性を豊かなSUVとミニバン…北京モーターショー2024

シャオミ『SU7』
  • シャオミ『SU7』
  • シャオミ(Xiaomi)『SU7』
  • シャオミ(Xiaomi)『SU7』
  • シャオミ(Xiaomi)『SU7』
  • シャオミ(Xiaomi)『SU7』
  • シャオミ(Xiaomi)『SU7』
  • シャオミ(Xiaomi)『SU7』
  • シャオミブース(北京モーターショー2024)

北京モーターショー2024(Auto China 2024)が4月25日から5月4日までの会期で開催された。主催者の発表によると、コンセプトカー(概念車)は41台、ワールドプレミア(世界初公開車)は117台、新エネルギー車(NEV、電気自動車等)は278台が展示。現地取材を元に、4年ぶりの開催となった北京モーターショーのトレンドと中国の自動車市場動向について伝える。

◆異業種から自動車業界への参入が加速

異業種から自動車セクターへ参入したメーカーとして、Xiaomi(シャオミ、小米)が挙げられる。同社はスマート家電・スマートホームの業界からスマートカーへの生産に進んでいるが、この他にも、Harmony Intelligent Mobility Alliance(HIMA:鴻蒙智行、ファーウェイが立ち上げた自動車アライアンス)、DJI オートモーティブ(大疆車載)、Sense Times(商湯絶影)などの異業種をルーツとするメーカーが北京モーターショーへ出展している。

シャオミは雷 軍会長が会場を訪問してメディアがニュースを多く発信した。展示車両は9つのカラーの『SU7』を配置し、ブースに入るには蛇の列に並ばないとならない状況だった。スマートカーのSU7は5月中にOTA通信を開始し、CarPlayなどのエンタメ系を充実にする予定で、順次、10都市での開通を進めていく計画だ。6月までには1万台の納車を予定し、年間では10万台を目指している。

シャオミ(Xiaomi)『SU7』

シャオミの向かいには、インターネット系がルーツのJiyue(極越)ブランド(バイドゥ/百度×ジーリー/吉利の上海集度汽車)がブースを構えている。極越ブランドのセールスポイントはAIによる次世代車の製造・販売を目指すことであり、今回の北京MSでは第2モデルであるAIスマートBEVの極越『07』を初披露した。同時に、NVIDIAとも再協力し、高性能コンピューティングプラットフォームを2026年に量産化すると発表した。

Jiyue(極越)『07』

ソフトウェア開発がルーツのNeta(哪吒)ブランド(合衆汽車)も、同社の株主である360グループ・周鴻祎会長が来場するとの予告があり、多くの観客を集めた。Netaは『L』『S』『GT』などの主力車種をブースに配置した他、クアルコムとAutoLinkの3者連合により、Snapdragon Ride Flex(SA 8775 P)コックピットドライブ融合プラットフォームを発表し、2025年第2四半期に量産車で正式採用すると発表した。同時に、AI採用モデルも早期に販売開始する予定で、同社の理念の「電動、智能、コネクティッド」領域を推進する。

Neta(哪吒)『L』

一方、ソリューション提供型のファーウェイ(華為技術)では、スマートモビリティの技術ブランドであるHIMAを提携先メーカーとともに出展した。同社がSeres(賽力斯)と共同運営するAito(問界)、Chery(奇瑞)と共同展開のLuxeed(智界)ではそれぞれの車種を展示した他、3つ目の提携としてBJEV(北汽藍谷)と立ち上げたStelato(享界)の『S9』を初披露した。S9はHIMAの初めてのビジネスフラッグシップカーと位置づけ、初めてストリーミングミラーを搭載した。また、独自のクラウドサービスとして今回の北京モーターショー前に立ち上げを発表したCloudCampus Qiankun-Saas(乾坤雲)では、車載通信・スマート運転の提案がされており、ソフト&ハードで次世代モビリティの進展を加速させる。特に、同社では今年はスマート運転技術が実用化していく年になり、同社のスマート運転システムを採用したモデルは50万台を達成するとの見通しを示している他、地場系OEMを中心とした10ブランドともクラウドサービスで事業展開が加速するという。

Stelato(享界)『S9』

ドローン製造のDJIオートモーティブでは、ADAS・運転ソリューションを搭載した4モデル(上汽VW、一汽VW、宝駿、奇瑞iCAR)を展示した他、AI・画像認証大手のSense Timesも自動運転ソリューション・Unified Autonomous Drivingの道路テストを表現し、コックピット一体型の提案を行っている。

上記のように、モーターショー会場ではOEMブースに並んで各種ソリューション提供企業が積極的な展示を行っており、自動車業界の垣根を超えた車づくりがさらに進展していくだろう。

◆差別化図るSUVとミニバン

地場系SUVも進化している。かつてはジープタイプのオフロードモデルが多かったが、現在は多機能で高性能なSUVが各社から発表されている。


《八杉理@現代文化研究所》

八杉理@現代文化研究所

八杉理|トヨタ自動車が全額出資する現代文化研究所・主任研究員。トヨタグループ各社をはじめ、日本の自動車業界のグローバルな事業戦略策定に参画。長く中国に居住し、各地の高度成長を肌で感じてきた。この経験から、現在でも現場主義に拘り、考察を続けている。また、クルマ好きで、世界の多様なモビリティを乗り歩く。著書に、『巨大化する中国自動車産業』日刊自動車新聞社、『東アジア地域協力の共同設計』ミネルヴァ書房等分担執筆のほか、業界団体や企業内でのセミナーも実施。専門業務分野は、中国・東アジアのモビリティ先端動向調査(CASE・MaaS、部品、炭素中立、SDGs)、ブランディング戦略、バリューチェーン事業化戦略、自動車ユーザー購買行動・イメージ・商品嗜好性分析、新興企業・競合企業の分析、これらに関する業界諸課題や市場参入へのアドバイザリー業務。

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