『STS』を最初に名乗った1992年登場の『セビル』は佳作だった。だが成功後のフルチェンジ、そして今回の『CTS』共用FRパッケージ転身と、その資質は急速に低落している。
GM内で独自の開発部門を有していたキャデラックだったが、その蓄積は一気に失われた…というのが実感。
基本形や機構設計は今日定番を踏襲するが、かなり雑。細部の重要さに目が届いていない。それがそのまま居住感に現れているし、乗り心地、ライントレース、ハンドリング…すべてが大味かつ粗い。
かつてはよい意味での鷹揚さが持ち味だったのだが。日本での商品性は低い。
■5つ星評価
パッケージング:★☆☆☆☆
インテリア/居住性:★☆☆☆☆
パワーソース:★★☆☆☆
フットワーク:★☆☆☆☆
オススメ度:☆☆☆☆☆
両角岳彦| 自動車評論家
1951年長野県松本市生まれ。モノごころついた時からクルマが好き。大学・大学院と自動車工学を修め、自動車専門誌を経て独立。現在は徳大寺自動車文化研究所・主任研究員としてディーゼル排気浄化システムの開発に注力中。