【シトロエン C5 X 新型試乗】未だ見ぬPHEVへの期待が高まる好感度…九島辰也

シトロエン C5 X
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シトロエン『C5 X』はラインナップの中で最上位に位置するモデルだ。先代では『C6』が君臨していたが、それがいない今フラッグシップを担っている。だが、その名前を見てもらえればわかるように、新型は従来型の正常進化ではない。“X”が付くことで、その無限の可能性を表現している。

もちろん、それがクロスオーバービークルを意味するのは間違いない。彼らはC5 XのスタイリングをセダンとステーションワゴンとSUVのいいところ取りとしている。確かに、セダン的な運動性能をキープしながらワゴンの高い積載性とSUVのワイルドさを兼ね備えている。

シトロエン C5 Xシトロエン C5 X

まず、今回試乗したのは1.6リットル直4DOHCターボであることを明記しておこう。このエンジンとモーターを掛け合わせたプラグインハイブリッドは年末以降の導入と思われる。生産が遅れているのはこのご時世いろいろあるだろう。販売的な数字からも日本のプライオリティ(優先度)が高いとは言い難い。

よって、シトロエンの醍醐味である乗り心地に関しては現段階であまり多くを語ることはない。というのもドライブモードで変化する油圧式可変ダンパーを使ったのはプラグインハイブリッドのみで、今回のモデルは標準的なダンパーとバネの組み合わせとなるからだ。

とはいえ、実際に走り出すとこのブランドらしいしなやかさを感じた。特段サスペンションストロークが長いわけではないが、路面からの入力に対ししなやかに反応するのだ。フロントはまだしも、リアはトーションビームなのだから驚く。これにはショックアブソーバー内にセカンダリーダンパーを組み込んだ仕組みが貢献していると思われる。名前はプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)。シトロエンのこだわりはここにある。

シトロエン C5 Xシトロエン C5 X

シンプルな構造でこのテイストが再現できるのは最終的なセッティングも当然のこと、長めのホイールベースも関係するであろう。『C3』や『C4』ではできないボディのたわみもうまい具合に利用している。

タイヤサイズは205/55R19を履いていた。シトロエンのスタイリングからして19インチの大きさは必要なのだろう。アーバンで前衛的なデザインをイメージさせるブランドだけに、小径タイヤは似合わない。が、思うに19インチでこの乗り心地なのだから、17インチあたりで種類を選べば、さらなるシトロエンチックな乗り味を得られるとも想像できる。日本仕様は上級グレードだから、本国にあるエントリーモデルを乗ればそれがわかるかもしれない。

シトロエン C5 Xシトロエン C5 X

パワートレーンに関しては思いのほかパワフルという印象。1.6リットル直4ターボは180psを発揮するが、ターボのバランスのいい効き具合が運転を楽にする。低回転からちゃんとトルクが立ち上がり、アクセルを極端に踏み込まなくても必要なエンジンパワーを得られる。ドライブモードに関係なく、スムーズなドライブが楽しめるセッティングだ。

このエンジンと乗り心地、そしてデザインを横串で鑑みると、C5 Xはバランスの良い仕上がりと言える。シトロエンらしさを出しながら気をてらっていないのがグッド。好感度は高い。となれば、プラグインハイブリッドへの期待はさらに膨らむ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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