2023年もレッドブル系F1マシンに「HONDA」ロゴ…2026年以降期への“製造者登録”をHRCが実施

レッドブル、アルファタウリのF1マシンには来季2023年も「HONDA」のロゴが入る(写真は2022年F1日本GP、#22 アルファタウリ)。
  • レッドブル、アルファタウリのF1マシンには来季2023年も「HONDA」のロゴが入る(写真は2022年F1日本GP、#22 アルファタウリ)。
  • レッドブル、アルファタウリのF1マシンには来季2023年も「HONDA」のロゴが入る(写真は2022年F1日本GP、#1 レッドブル)。
  • 12日に開催された発表会の模様。
  • 12日に開催された発表会の模様。
  • HRC社長の渡辺康治氏(ホンダの執行職を兼任)。
  • 四輪と二輪の「シナジー発揮」について語る渡辺氏。
  • 2022年F1日本GP、ドライバーズタイトル防衛を果たしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。
  • 2022年F1日本GPの表彰台。左からHRCの浅木泰昭氏、レッドブルのペレス(2位)とフェルスタッペン(優勝)。

12日、ホンダが来季2023年のモータースポーツ活動計画を都内にて発表した。席上、現在は“技術支援”の形態(名目)で参画しているF1についての発言もあり、2023年も共闘チームのマシンに「HONDA」ロゴの掲出があることなどが明らかにされている。

◆2023年もレッドブルとアルファタウリには「HONDA」が輝く

F1に関しては、2021年限りでホンダという名のパワーユニット(PU)を供給する直接的参戦活動は終了したホンダだが、PU供給先であったレッドブル・グループ(F1参戦チームは「レッドブル」と「アルファタウリ」の2チーム。アルファタウリには角田裕毅が所属)からの要請に応える格好で、周辺状況の変化による影響も受けつつ、かなり深い“技術支援”でレッドブル・グループと共闘するかたちに移行した(2021年限りでの“撤退色”はかなり薄れた)。

今季2022年からレッドブルとアルファタウリは「レッドブル・パワートレインズ」(RBPT)という名称の“実質ホンダPU”で戦っており、10月に鈴鹿サーキットで開催された日本GP以降は「HONDA」のロゴも車体に復活している(2022年からホンダのモータースポーツ活動を四輪、二輪とも統括している「HRC」=ホンダ・レーシングのロゴは同年当初より掲出)。

PUに関する現行レギュレーションが(開発凍結を基本としつつ)大枠で維持される予定の2025年シーズンまで現行の支援が継続されていく方針も既に決まっている。そして今回、来季2023年も「HONDA」ロゴの掲出が続くことが明らかにされた。

2022年、レッドブルは22戦17勝とシーズンを席巻した。チームは9年ぶり、ホンダと組んで以降初のコンストラクターズチャンピオンに輝き、マックス・フェルスタッペンは2年連続でドライバーズチャンピオンの座を獲得。ホンダにとっては1991年のマクラーレン・ホンダ&アイルトン・セナ以来、“実質”31年ぶりの2冠独占であった。

◆2026年以降の「F1 PU製造者登録」をHRCが実施

どれだけ勝っても、ホンダが勝利(ホンダPUが勝利)とは言えず、万事に「実質」や「事実上」といった注意書きが必要なもどかしい状況ではあるが、上述のように、2025年シーズンまではホンダがレッドブルとアルファタウリを支えることは既に決まっている。では、F1のレギュレーションが次に大きく変わるタイミングとされる2026年シーズン以降に関してはどうなのか? ここに関して今回、注目の発言があった。

会場のメディアからの質問に答えるかたちで、HRC社長の渡辺康治氏(本田技研工業株式会社執行職コーポレートコミュニケーション統括部長 兼 株式会社ホンダ・レーシング代表取締役社長)が「2026年からのPU製造者登録をHRCとして行ないました」との内容を語ったのである。

これは、2026年以降のF1へのホンダ/HRCの関与を即座に確約するものではなく、事実でありながら「取り扱い注意」となる情報だ。

あくまでも、2022年11月15日の締め切りまでにHRCとして登録をしました、ということであり、渡辺氏らこの日の登壇メンバーや広報担当者らが「そのあたりについてはご理解ください」という旨を何度も念押ししていた。再参戦、復帰、活動継続など、ホンダの“次”にはいろんな表現が可能だが、この登録は現段階でそれらに直結するものではない。

ただ、ホンダ/HRCが2026年以降の次世代F1にも(少なくとも研究対象として)関心をもち続けていることは確かで、今後の詳細なレギュレーション策定のなかで、ホンダが今現在最も重視しているカーボンニュートラルの実現(ホンダの名でのF1参戦を終了した最大事由でもある)、これとの親和性がより高いF1になっていく確信が得られたならば、なんらかのかたちでの関与を続ける可能性は高まることになりそうだ。

名称や参画の仕方については複雑な面も多々ある。とにもかくにも今後の動きが注目されるところで、もし2026年以降もF1を戦うとなれば、決断すべきタイミングはそれほど遠くには設定できないようにも思われる。

レッドブル・グループ/レッドブル・パワートレインズ社(RBPT社)との関係も当然、気になってくる要素。今年9月、レッドブルは2026年以降に関して提携確実とみられていたポルシェとの交渉を終了している。ホンダとの共闘が最高の成果を収めつつあったなかでの出来事であり、おそらくレッドブルは2026年以降の次世代F1でもホンダの技術と(なんらかのかたちで)一緒に戦うことを(少なくとも)選択肢にはしたいと考えているのだろう。

◆国内最高峰のSFに新たな大物若手外国人選手が参入

さて、この日の主題は来季2023年の四輪、二輪各シリーズにおけるホンダの参戦体制の発表だった。二輪に関しては世界最高峰「MotoGP」で未勝利に終わった2022年からの巻き返しに主眼が置かれる。F1以外の四輪については、やはり国内2大トップシリーズの「スーパーフォーミュラ」(SF)と「SUPER GT」に注目が集まるわけだが、SFの戦列にはF1候補生の新たな若手外国人ドライバーが加わることとなった。

レッドブルのジュニアドライバーのひとりで、2022年FIA-F2選手権シリーズ3位のリアム・ローソン。F1のレースウイークの金曜フリー走行にも出走した経験がある、ニュージーランド国籍の20歳だ(来年2月で21歳)。レッドブル系次期F1ドライバー候補のローソンはチーム無限に加入し、2021~22年に2年連続チャンピオンとなった野尻智紀の僚友になる。

一方、海外では角田裕毅(現アルファタウリ)に続く日本人F1ドライバー候補の岩佐歩夢(2022年FIA-F2選手権シリーズ5位)をホンダが継続してサポート。岩佐は来季もDAMSチームから自身2年目のF2を戦う。同じレッドブル・ジュニアのローソンとは、ところを変えて、レッドブル系F1シートへの昇格を争う格好になりそうだ。

ホンダは岩佐以外にも四輪、二輪のスター候補たちを支援、またHRS鈴鹿(ホンダ レーシング スクール 鈴鹿)での育成にも傾注を続ける。

そしてベテラン勢ではINDYCARシリーズの佐藤琢磨が最注目ドライバーだ。今回の発表では所属チームこそ「TBA」(後日発表)ながら、ホンダエンジン勢のドライバーとして自身14年目の北米最高峰戦に挑むことが示されている。2017、20年に続く3度目のインディ500制覇を期待したい。

◆モータースポーツは、やはりホンダに必要不可欠なもの

参戦体制発表とともに、ホンダのモータースポーツ活動への思いなども“首脳陣”から語られている。本田技研工業株式会社取締役執行役専務の青山真二氏は、「人と技術を磨くために必要不可欠」な存在とモータースポーツをあらためて定義、ホンダの名でのF1参戦は終了した今現在においてもモータースポーツを変わらずに重要視していることを強調した。

また、ホンダは2022年から四輪、二輪のモータースポーツ活動を株式会社ホンダ・レーシング(HRC)に集約する体制に移行したわけだが、この“新生HRC”が迎える2年目に向けては、「四輪と二輪のシナジー」をさらに促進し、結果につなげていきたい旨を渡辺氏らが語っている。

やはりホンダのDNAのひとつであるモータースポーツ。ホンダモビリティランド(鈴鹿サーキット、モビリティリゾートもてぎの運営会社)が開催する数々の国際レースや国内レース、各種イベントのさらなる充実はもちろん、参加型モータースポーツの拡充等も図りつつ、2023年もホンダは前進を続ける。

《遠藤俊幸》

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