アウディ、独工場にサーバーソリューション導入…EVスポーツの生産を支援

アウディがドイツ・ベーリンガーホフ工場に導入するローカルサーバーソリューション 「Edge Cloud 4 Production(EC4P)」
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  • アウディ e-tron GTクワトロ
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アウディ(Audi)は7月13日、ドイツ・ベーリンガーホフ工場でのEVスポーツの生産を支援するために、ローカルサーバーソリューション 「Edge Cloud 4 Production(EC4P)」を導入すると発表した。

◆EVスポーツのe-tron GTクワトロとRS e-tron GTの生産サイクルに適用

アウディ e-tron GTクワトロアウディ e-tron GTクワトロ

アウディは2022年7月から、ベーリンガーホフ工場において、ITベースのファクトリーオートメーションの新しい手法として、ローカルサーバーソリューション Edge Cloud 4 Production(EC4P)のテストを行っている。

アウディにおけるITのパラダイムシフトは2023年7月、初めて生産現場に適用される。ベーリンガーホフでは、ローカルサーバークラスターが、『e-tron GTクワトロ』と『RS e-tron GT』、『R8』の2つの生産サイクルで、作業者のサポートシステムを制御する。

将来的には、ソフトウェア制御による柔軟で拡張可能なサーバーソリューションが、メンテナンスに手間のかかる産業用PCを使用した分散型制御システムに代わるものになる。EC4Pにより、アウディは生産ラインに必要な演算能力を備えたシステムを、ローカルデータ処理センターに配置できるようになる。アウディは、この生産現場における初の適用例に加えて、Audi Production Lab(P-Lab)の他のケースにもEC4Pを採用している。

◆生産ライン上の産業用PCが不要になりマルウェア攻撃のリスクが軽減

EC4Pは、データ処理センターとして機能するローカルサーバーに配置される。これにより、大量の生産関連データを遅延なく処理し、作業者サポートシステムに送信して、どの車両部品を取り付けるかを従業員に指示することができる。これにより、高額でメンテナンスに手間がかかる産業用PCが不要になる。

EC4Pを使用すると、作業員のサポート、ボルト制御、車両診断、予測的メンテナンス、エネルギーの節約など、ソフトウェアと新しいツールを迅速に統合することができる。さらに、EC4Pにより、生産ライン上の産業用PCが不要になるので、マルウェア攻撃のリスクが軽減する。

サーバーソリューションにより、需要の急増をすべての仮想化クライアントに分散することで平準化することが可能になり、アプリケーションを迅速に展開し、リソースをより効率的に使用することができるようになる。とくに、ソフトウェアを展開する場合、オペレーティングシステムを変更する場合、IT関連のコストが発生する場合に、効率的な生産を行うことができる。柔軟なクラウドテクノロジーは、将来のタスクに適応するように拡張することもできる。

◆演算処理システムを集中型サーバーに配置した最初の自動車メーカーに

アウディは試験運用を経て、2023年7月にEC4Pを生産ラインに導入する。ベーリンガーホフで生産されるe-tron GTやR8などの少量生産車は、制御システムとしてのECP4の能力や大規模生産における使用をテストするにあたり、理想的な環境を提供してくれるという。

アウディは、サイクルに基づく生産において、演算処理システムを、集中型サーバーソリューションに配置した最初の自動車メーカーだ。ベーリンガーホフの生産サイクル18と19では、PoE(Power over Ethernet)に対応した端末(シンクライアント)を使用して、インテリアパネルの取り付けとアンダーボディの作業が行われる。これらの端末デバイスは、LANネットワークケーブルから電力が供給され、ローカルサーバーからデータを取得する。

アウディは2023年末までに、36サイクルすべての作業者サポートシステムを、サーバーベースのソリューションに切り替える予定だ。サーバークラスターのアーキテクチャーは、大規模な運用環境でEC4Pを迅速に拡張できるように設計されている。アウディはEC4Pにより、オートメーションテクノロジーとITの分野を融合させ、IoT(モノのインターネット)の実用化を進めていく。この開発により、生産現場とITのインターフェースをつなぐ従業員の新しい役割が生まれる。たとえば、従業員は新しいアプリケーションを使用して、オートメーションテクノロジーを制御する。この目的のために、アウディはEC4Pシステムを24時間監視するための包括的な専門知識を備えた制御チームを構築している。

◆デジタル化が労働環境に与える影響を研究

アウディは、「Automotive Initiative 2025(AI25)」の一環として、フラウンホーファー産業工学研究所などのパートナーと協力し、デジタルイノベーションが労働環境にどのような影響を与えるかを研究している。AI25は包括的なアプローチにより、テクノロジー、人材、生産活動のデジタル化を推進するアウディのミッションの実現を目指している。

最初の適用例のひとつは、アウディのドイツ拠点において、さまざまな電気機器を制御すること。組み立て工程でEC4Pの機能が確認されれば、さらに具体的なステップとして、車体製造の自動化設備で、これまでハードウェアベースで行われていたプログラマブルロジックコントローラー(PLC)を、サーバーソリューションが引き継ぎ、監視することになる。プロジェクトチームは、インゴルシュタットのEC4Pプロジェクトオフィスで、3社と協力してソフトウェアの開発とテストを行っている。

《森脇稔》

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