マレリ、デジタルコックピットや製品開発プラットフォームなどSDV時代の新技術を披露…CES 2024

デジタルツインを再現したデモ機では、クラウドで構築したコックピットを再現するほか、車外とのコミュニケーションツールも最適化できることを披露した(マレリ/CES 2024)
  • デジタルツインを再現したデモ機では、クラウドで構築したコックピットを再現するほか、車外とのコミュニケーションツールも最適化できることを披露した(マレリ/CES 2024)
  • “デジタル・デトックスキャビン”では、ディスプレイを必要に応じてパネル上でON/OFFできる(マレリ/CES 2024)
  • OLEDで薄型化したディスプレイを収納した状態。“デジタル・デトックスキャビン”では必要に応じたディスプレイの展開が可能になる
  • 収納可能としたOLEDディスプレイ
  • CES 2023にも出展したデジタルコックピット。この時はディスプレイの多さを売りとしていた
  • クラウド上で完全な車両コックピットを再現できる開発プラットフォームを紹介した
  • Amazon Web Service(AWS)を利用するDigital Twinデモ機
  • レーザーと光ファイバーの組み合わせて、デザイン性を高めたテールライト

マレリCES 2024において、「ソフトウェア・ディファインド・インテリア」と呼ばれるデジタルコクピットや、新たな製品開発プラットフォーム、ユニークな発光方式のテールランプなど、SDV時代に適応した数々の新技術を披露した。


◆用途に応じて表示のON/OFFを可能にする“デジタル・デトックスキャビン”

カルソニックカンセイをルーツとするマレリは、もともとコックピットの開発で存在感を示していた。その展示で目を引いたのが「ソフトウェア・ディファインド・インテリア」と名付けられたデジタルコクピットだ。その名の通り、OTAによるアップデートを可能にしたインテリアを指すが、その目的はもっと別のところにあった。

“デジタル・デトックスキャビン”では、ディスプレイを必要に応じてパネル上でON/OFFできる

最大の特徴はその仕組みを“デジタル・デトックスキャビン”としていることだ。フロントウインドウの直下にはダッシュボードの左右いっぱいに細長いディスプレイを配置し、ステアリングやセンターにもディスプレイが装備される。注目なのは助手席側のパネル表面に貼られた木目調のパネルだ。実はその表面には多彩なディスプレイとしての機能が埋め込まれており、その表示をオフとしたり、必要に応じた表示を可能としている。

また、センターディスプレイも不要な時はダッシュボード内に収納することができる。これは有機発光ダイオード(OLED)をディスプレイに採用することで、ディスプレイの超薄型化によって実現した。これにより、助手席側の表示をオフにしておけば、ほとんどのモニター表示を消し去った状態となり、それこそ落ち着いたリビングのような雰囲気でドライブが楽しめるわけだ。もちろん、助手席側も含め、OTAによって表示されるコンテンツを自由にアップデートできるのは言うまでもない。

収納可能としたOLEDディスプレイ

実はCES 2023においてマレリは、左右に大きく広がるディスプレイを使って情報を表示するデジタルコックピットを出展していた。それは世界的にディスプレイをいかに増やすかに注力する時代背景があったからだ。特に中国ではそうした流れが好まれ、ほとんどの自動車メーカーがそれに続いた経緯があった。しかし、マレリとしては、その流れにはきちんと取り組みながらも、新たなスタイルとしてこの“デジタル・デトックスキャビン”を提案し、より幅広いニーズに対応していこうというわけだ。

◆2つの製品開発プラットフォーム「リーン」と「アドバンテージ」を発表

マレリが新たな2つの製品開発プラットフォーム「リーン」と「アドバンテージ」を発表したことも大きなトピックだ。

まず、「リーン」プラットフォームが目的としているのは、簡素化したハードウェアとソフトウェアの設計だ。これによって、使用するコンポーネントの数や重量を減らすことが可能となるが、その性能は従来製品と同等かそれ以上を実現できるという。しかもシステムそのものは事前に開発されるため、OEMはプロジェクトの立ち上げ時にその機能をカスタマイズできるのもメリットとなる。

このモジュールはエントリーレベルの車両専用として用意されており、最初に提供されるのは「リーンライト」と「リーンディスプレイ」の2つだ。

クラウド上で完全な車両コックピットを再現できる開発プラットフォームを紹介した

《会田肇》

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