【BMW CE 02 海外試乗】あふれるストリート感!? スケボー感覚で遊べる新ジャンルの電動バイク…青木タカオ

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)
  • BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)
  • BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)
  • BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)
  • BMW CE 02(左)とCE 04(右)
  • BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)
  • BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)
  • BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)
  • BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

◆次世代感覚はスタイルだけじゃない!

質実剛健で高品質。ドイツBMWがつくるオートバイは正統派で、いい意味でマジメ。奇をてらったモデルはほとんどない。そんな印象を持つ人は少なくないはず。

しかし、今度のニューモデル『CE 02』はどうだ。ハイクオリティでハイスペックなのはそのままに、がらりとイメージを変えてきた。ファットタイヤを履き、スケートボードがそのまま車体に載っかているかのような斬新で都会に溶け込むストリートスタイル。BMXなどエクストリームスポーツに馴染む新ジャンルであることを見た目からも感じてならない!

新しいのはカッコだけではなく、動力源を電動モーターにしていることも次世代の乗り物であることを強烈に物語っている。

◆まだ珍しい高速道路も走れるEV二輪

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

バイクのEV化はすでにはじまっているが、市場にあるのはほとんどが原付クラスで、ビジネス用途を想定したもの。主に配達業務などで実戦投入されているのが現状だ。

ポルトガル・リスボンで開かれたインターナショナル・メディアローンチにて乗った『CE 02』は、ホビーユース向け。定格出力6.5kWであることから日本では軽二輪クラスに該当し、高速道路も走れる。

■日本における電動バイクの免許区分(定格出力)
0.6kW以下:原付1種
0.6kW超1.0kW以下:原付2種
1.0kW超20kW以下:軽二輪
20kW超:大型二輪

BMW CE 02(左)とCE 04(右)BMW CE 02(左)とCE 04(右)

原付を超えるセグメントにBMWモトラッドは早くから着手し、すでに市販化を進めてきた。四輪EV『i3』から技術を転用した『Cエボリューション』を2017年に、その進化版『CE 04』を2022年に発売してきた。

培ってきた電動二輪の実績とノウハウが『CE 02』には注ぎ込まれていると同時に、キャラクターもアーバン向けとし、街乗りに適すよう振り切っている。

◆より幅広い層に乗ってもらう

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

『CE 04』はロングホイールベースで車体が大柄だが、『CE 02』は軽量かつコンパクト。若者がBMX感覚で気軽に乗れるようにした。

というのも、欧州では2種類の『CE 02』が設定され、ひとつは筆者が乗ったフルパワー仕様で最高出力11kWのモデル。そして、もうひとつが最高出力4kW/最高速度45km/hに抑えた仕様だ。

これは日本の原付1種に相当し、モペットと呼ばれる排気量50ccのクラス。取得するのがもっとも容易いAM免許で運転ができ、つまり多くの若者が気軽に乗れる。

ただし、試乗会にて筆者らジャーナリストに用意されたのは、すべてが最高出力11kWのフルパワー仕様だったことを考えると、おそらく日本導入モデルは4kWモデルはない。

◆イージーな操作性

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

何が言いたいかと言うと、『CE 02』はそれほどフレンドリーかつイージーな乗り物であることを前提に開発が進められている。実際に操作はスクーターと同じで、右手のグリップをひねれば進み、左右のレバーでブレーキをかけるだけ。右が前、左が後輪ブレーキだ。ABSを搭載し、レバーを強く握りすぎて車輪がロックしてしまう心配も要らない。

違うのはリバースモードがあることで、車体をいとも簡単に後退させることができる。ハンドル左のボタンを押しながら、スロットルグリップを回すと最大3km/hの速度でバックする。

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

車体重量は132kgしかなく、取り回しするのも軽くて苦にならない。シート高は750mmと低く、試乗車にはクッションの厚みを10mm増したハイシートが備わっていたが、身長175cm/体重65kgの筆者の場合、両足がべったり地面に届き、踏ん張りも効くためリバースモードを必要に感じることはなかった。

小柄で非力なライダーはもちろん、もしも坂道で後戻りができなくなったときを考えると、リバースはとてもありがたい。リスボンは坂道が多く、バイクの取り扱いに慣れていなければ、その恩恵に預かるシーンに出くわす可能性は少なくなさそうだ。徹底的にビギナーに優しい乗り物となっている。

◆スリップせずに強烈ダッシュ

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

リスボンの旧市街地を走る。アップ&ダウンが激しいことに加え、路面は石畳が多く残る。路面電車の線路も敷かれていて、見るからに滑りそうだ。

そんな不安をよそに『CE 02』はスロットルを開ければ気持ちよく加速し、駆動輪がスリップすることはない。トラクションコントロールが効率よく介入するだけでなく、前後サスペンションがやわらかくスムーズに動き、150mmのワイドタイヤを食いつかせてグイグイ進む。

スロットルレスポンスの異なる走行モードが3つあり、ソフトで穏やかな「FLOW」、中間的な「SURF」、そしてダイレクトで強力な「FLASH」が選べる。

0→50km/hに3秒で達する加速力を持ち、ストップ&ゴーを繰り返す街乗りでは運動性の高さを見せつける。「FLASH」では回生ブレーキが強力に効き、エンブレの役割を果たすから、走りはよりスポーティでアグレッシブになる。

◆アーバンライフを前提に開発

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

気になる航続距離は、公表値95km(WMTCモード)。リスボンではグリップヒーターを使ったり、スマホのナビ機能もフルに起動したままで60kmを走行。バッテリー残量は21%あり、残り18kmを走行可能と表示されていた。

充電は車体の左側にあるコネクターに専用のクイックチャージャーを接続し、家庭用電源でおこなう。日本の100Vコンセントを用いた場合、140分で80%、210分で100%の満充電ができる。

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

ハンドル周りにはモバイルフォンを取り付けるためのステーが備わり、スマートフォンをつけていないと物足りない。つまり、スマホの装着を前提にしていて、後付けの違和感がないのが素晴らしく良い。

スマートフォンはUSB Cポートで充電しながら、BMW Motorrad Connected アプリによって車体とBluetooth接続でき、ナビなど多彩な機能が使える。

バッテリー残量や残りの走行可能距離が表示できるのはもちろん、車体側のスイッチボタンでスマホの操作ができるのもありがたい。グローブをはめた手では、タッチパネル操作がしにくいからだ。

◆自慢したくなる先進性

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

モーター音だけで静かにスマートに走ることだけでなく、都会にマッチする洗練されたデザインの影響も大きいだろう。歩行者からは関心の目が向けられる。

なんだか鼻が高くなり、自慢げな気持ちだ。信号待ちで停止し、視線を感じたらスマートフォンをこれ見よがしに操作し、先進性をもっとアピールしたくなるのは筆者だけなのだろうか。『EC 02』がそうさせる。

走りは俊敏で爽快だし、見られる気持ち良さや嬉しさもこの上ない。日本での発売を間近に控えた。ファッションやストリートカルチャーに敏感な人に受け入れられそうだ。

BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)BMW CE 02(ポルトガル・リスボン 国際報道試乗会にて)

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集