『アブソルート』はスポーティさが売り。が、ストリームのそれは残念ながらぼくの期待値には届かなかった。
走りの熟成は、とくに進んでいる。さすがに7人も乗ると鈍重だけど、4名乗車だったら、けっこう活発に走る。少なくとも、コーナーでグラグラして辟易するようなことはない。
ライフのインテリアの仕立てやレイアウト面での見せ方の巧さには、軽も内製する大手ホンダならではといえるバランス感覚が見て取れる。
今や軽は「我慢グルマ」ではなくなった。ライフのインテリアもカジュアルなセンスが光り、使い勝手はよい。
今までの軽自動車では当たり前だった「無用な背高フォルム」と決別。その点を通じて、新型ライフは現在の軽自動車枠の中で将来を見据え、開発された姿勢が感じられるのだ。
エクステリアは「?」だが、走りは確実に進化。以前のモデルで感じられた粗さが抑えられ「洗練」の言葉がふさわしい。
日本車のマイナーチェンジは、開発時とは別の担当者が、見た目の印象だけを変え、不満・苦情対策に終始し、結局「いじりこわす」ケースが多い。このストリームも、そういう典型的なパターンに陥ってしまった。
軽専業メーカーの同ジャンル商品に比べると、顧客層は絞れるから、見た目の商品性はわかりやすく仕立ててある。基本骨格も一新。後席の着座姿勢はOK。前席はもう少し高く座りたい。
新開発のエンジンときたら気持ちよい吸気音を響かせ軽々回り(パワー的にはターボをすすめておく)、これまた新開発となるスムースな4速ATでしっとり走ってくれる。
もっとも大きなトピックは「クルマの内容が大幅に向上したにも関わらず、値下げした」という点にあると思う。もちろんウィッシュに対抗するためだ。
さらに驚いたのは静粛性の高さ。アイドリングや走行中のサウンドが低く、快適。動力性能は、ターボ仕様では普通車と同じレベルで走れ、ストレスがない。
最大のキモはスタイル。ややMCCスマートに似たフロントマスクが気になるが、「軽規定」でがんじがらめの新型ワゴンRやムーブとはひと味もふた味も違う。
新ストリームは、ハリウッド女優ほどの大掛かりなフェイスリフトを受け、インテリアの質感もマニキュアして向上した。確かによくなった。
ライフターボのドライバビリティは、ほとんどリッターカーとおんなじレベル。別に特別な新技術じゃないんだけど、これだけターボラグを抑えたってのは、軽エンジンの革命だよ!
新型はより広い室内、新開発のリアサス、と新4ATを売りにしている。ま、ホンダが作ってんだから、ハンドリングや性能は相当いいレベルに仕上がっている。